アトゥール・ガワンデのポジティブな逸脱をするための5つのアドバイス

今日から新年度ですね。

新入社員のみなさんへ贈る言葉が1年で最もあふれかえる1日だと思いますが、自分も心に留めているアドバイスがあるので、ご紹介したいと思います。

その内容は、私が尊敬している副院長の医師が教えてくれた、アトゥール・ガワンデの「ポジティブな逸脱をするための5つのアドバイス」です。アドバイス自体は、こちらの本のあとがき(P229~P238)の内容に掲載されています。

医師は最善を尽くしているか――医療現場の常識を変えた11のエピソード

アトゥール・ガワンデって誰??

アトゥール・ガワンデは、世界的にも有名な外科医であり、公衆衛生研究者です。2010年にはTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれています。

最近では、Amazonバークシャー・ハサウェイ、J.P.モルガンが共同出資したヘルスケア・ジョイントベンチャーのCEOにも任命されたというニュースもありました。

compass.healthcare-ops.org

 

こちらの本もおススメです! 

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

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アトゥール・ガワンデからの5つのアドバイス

  1. 筋書きにない質問をしなさい
  2. 不平を漏らすな
  3. 何か数えろ
  4. 何か書け
  5. 変われ

医師が書いた本なので医師の目線ですが、「医師」という言葉を自分自身に置き換えても、医療機関の中で患者さんを相手に働く方にとっては示唆に富む内容が多いです。

引用文が中心ですが、ひとつずつ説明してきますね。

筋書きにない質問をしなさい

筋書きのない質問をすることで、「相手のことを知る」「相手と時間を共有できる」とガワンデは説いています。

筋書きのない質問をすることで、たくさんの反応が返ってくることにも気づくだろう。なぜなら、患者は礼儀を知っていたり、友好的だったり、あるいは人のつながりを求めていたりするかもしれない。そういうことが起こったなら、2文以上に会話が続くように努めるといい。話を聞くのだ。記録も取る。患者は右鼠径部ヘルニアの46歳男性ではない。患者は46歳の元葬儀屋で、葬儀ビジネスを嫌っており、鼠径部にヘルニアがあるのだ。

もちろん、対象は患者以外でもいい。バイタルサインを測定してくれる医療助手や回診で顔を合わせた看護師にランダムな質問をしてみるといい。つながりをつくることがいつも役立つわけではない。しかし、こうすれば会った人を覚えることができ、ぼんやりとした有象無象にすることがなくなる。

質問すれば、機械の歯車も違ったように感じられるだろう。

不平を漏らすな

不平を漏らすことにる相手への悪影響と、自分と向き合うことの大切さを説いています。

医療は、試される職業である。それは、疾患の難しさのためではなくほんの一部しかコントロールできないような状況で、他人と仕事をすることの難しさのためなのである。(中略)野球と異なり、医療の勝負の対象は人命であり、医療にはコーチがいない。医師は自分で自分のコーチをしなければならない。困難な局面に差し掛かった時、駆け寄ってきてくれるコーチはおらず、医師は自分で自分を励まさなければならない。

災いの長談義はつまらないし、何も解決しないし、人を落ち込ませる。どんな時でも太陽のように明るく振る舞えというわけではない。何か他の話ができるように準備しておきなさい。読んだ本にあったアイデア、出会った面白い問題、何もなければ天気の話でもいい。それで会話を続けられるかどうか試してほしい。

何か数えろ

数える対象は重要なものでなくていい。研究費もいらない。何を数えるかについてただ一つの要件は、それがあなたにとって興味を引く対象ということだけだ。

ガワンデは、手術後の体内への器具・ガーゼ遺残のインシデントを数えはじめたエピソードをもとに、以下のようにまとめています。

数字に意味が見えてきた。50枚のガーゼと200~300の器具を看護師が手術中に数えておかなければならないとしよう。これだけでもミスなしに行うのは大変である。(中略)こうしたとき、私たちがやりがちな、ミスを犯したものを罰するというやり方では問題を減らせないことにも気づいた。技術的な解決だけが減らしてくれる。そして、器具やガーゼの動きを自動的に追跡できる機械を他の同僚とともに私も使うようになった。

何かを数えて、その結果が興味深いと思ったならば、あなたは面白いことを学ぶことになるだろう。

「数えられないものは改善できない」という言葉もあるくらい、現状を変える最も重要な情報は「データ」です。現状をよりよくするために、何か数えることが大事であると説いています。

何か書け

とにかく書きなさい。完璧を目指す必要はない。あなた自身の世界を観察してくれる他人を加えることだけが必要である。

書くという行為は、仕事から一歩身を引き、問題を見通す機会を与えてくれる。度を過ぎた怒りにかられた時でも、書くことによって、思慮深さをある程度は保てる。

「自分の世界に他者の視点を入れる」ということが面白いポイントだなと思いました。最近Twitterでつぶやく中で、いろいろな人から意見をもらうことがあり、自分自身でも実感できるアドバイスでした。

変わりなさい

自分自身はアーリーアダプターになりなさい。変化するためのチャンスを探しなさい。すべての新しいトレンドを追いかけろというのではない。今やっていることの不十分さを務めて認めるようにし、そして解決策を探すようにしなさい。

 

自分のことを振り返って…

アドバイスと称して書いては見たものの、自分自身を振り返ると、できてないことばかりですね。笑

仕事相手とは仕事の話ばかりですし、嫌なことがあったら不満を漏らすし、「大変だ~」とは言うけどデータをストックしているわけではないし、あんまり変化のない人間です。

「何か書け」だけは、最近このブログで実践できつつあるかな。 

明日から実践できるけど、意識しないといつまでも実践できない、奥の深いアドバイスなのだとまとめていて改めて気づきました。

 

小さなところから少しずつ、私も実践していきたいと思います!