「病院事務職」の仕事内容と呼び方を考える

先日、知り合いの方と一緒に食事をしているときに、「病院の事務職」っていう言葉をもっと的確に、カッコよく表現できないものなのか?という話になりました。 

確かに、友人に「病院で事務職をやってるんだけど…」と話しても「何やってるの?」と聞かれることがほとんどで、世間一般における病院事務職の役割は全くと言っていいほど認識されていないと思います。(たぶん、病院で働いている人も「事務職」への役割の認識は人それぞれかと。。)

そんな中で、Twitterで病院事務を「事務総合職と医療事務」と切り分けをしている話を見つけたのですが、何となく腑に落ちず、以下のようなつぶやきをしました。 

 

というわけで、 今回のテーマは「『病院事務職』の仕事と呼び方って何?」ということです。 

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「事務総合職」は病院のどこにいる?

※冒頭で「事務総合職」を一度否定していますが、ここではあえて「事務総合職」という言葉を使っています。

私はいま医事課で働いており、いわゆる「医療事務」の人達の世界にいるのだと思います。ただ医事課を運営する立場にあるスタッフには、一般の「医療事務」的な仕事以外にも、勤労管理、スタッフ教育、増収に向けた算定強化などなど、医療事務作業と並行して高度な管理業務も求められるなぁと実感しています。

ですので、管理部で病院全体の人事・経理・総務やプロジェクトマネジメントを担うのが「総合職」、医事課は「医療事務」という考え方に私は馴染めません。

実際に、これまでのキャリアで管理部も経験したことがありますが、正直だらけた仕事をする人は管理部の方が多くいるような気がしています。(失礼?)

なんだか話がそれてきていますが、それ以外にも

・病院として集めるべき患者群への営業にあたる連携室担当者

・業者との価格交渉で質の高い診療材料を安く仕入れる資材管理担当者

・システムを現場に適切に使用してもらい、オペレーション改善に貢献するシステム担当者

・常に院内が安全・清潔に保たれるように施設整備を怠らない施設担当者

などなど、事務総合職の見せ場は管理部門だけでなく、現場に近い各部署にもたくさんあります。(というよりも、収支に関わる病院の現場に近い部署にこそ、優秀な人材が投入されるべきというのが個人的な考えです。)

ですので、私の見解としては、「病院の事務総合職で問われるのは所属部署ではなく働き方」であり、求められる能力を抽象化して言うと、「病院の目標や診療サービスにおける課題を自主的に見つけ出し、関係者を巻き込んで解決に導くこと」だと思っています。

ちなみに、HealthcareCompassさんのブログでNTTデータから総合病院に転職された方の記事が先日アップされていました。病院事務として働く方にとって非常に刺激的な内容なのでぜひ一度読んでいただきたいのですが、私は特に以下の部分に強く共感しました。

「病院経営」は実に多岐にわたります。収益は当然のことながら、広報、地域連携などのマーケティングなども対象でしょう。あるいはクリニカルパスなどの内部改善も含まれるかもしれません。つまり、病院やその人の経験によって意味合いが異なる、所謂バズワードが「病院経営」だと思っています。

私個人としては全て包括的に対応することこそが病院経営であり、課題に応じて適宜対応できる「遊撃的医療事務」が病院経営職に求められることだと考えています。

病院経営職、私の言う所の「遊撃的医療事務」は病院内に散らばる経営課題を発見し、「小さい仕事」をいろんな領域で果たしていくことが役割と考えています。「収益アップ」という方針ひとつをとっても、外来なのか、病棟なのか、あるいは救急や検査なのか、対応する領域は多岐にわたりますが、それのいずれにおいても仕事を果たしていくことに存在価値を見出しています。

compass.healthcare-ops.org

「病院経営」も「事務職の役割」も認識は人それぞれなのかもしれませんが、経営課題・運営課題の大小を問わず、自主的に解決していこうとするマインドが大切なのだと思います。 

おわりに…「病院事務職」に代わるカッコいい呼び方を募集!

先に述べたつぶやきに加え、もうひとつ以下のようなこともつぶやいてみました。

 

「伝え方が9割」ではないですが、優秀な方に病院経営業界に来てもらうにあたって「事務職」っていう職種募集はもう少し工夫してもいいのかなぁと思っています…。もちろん、入った後に優秀な人が輝けるポストや職務内容を用意することが一番大切なのですが、その入り口が見えにくいとそもそも人が集まってきませんので。

Twitterのみなさんから色々と反応もいただきました!

先に紹介した記事の筆者であるわんたかさんからもコメントをいただきました。

「より良くする人材(非定型業務に取り組み、問題解決ができる)」と「運営する人材(定型業務に安定して対応することができる)」は資質が異なるというのは、確かになるほどな~と思いました。

 

ということで一応自分なりの「病院事務職」の呼び方の提案として、「病院マネジメント職」はどうでしょうか?ちょっと長いかな…。

ちなみに、済生会熊本病院の事務採用HPがカッコよかったので、紹介しておきます。ここでは「経営マネジメント職」と呼んでいるみたいです。HPの中身もいろいろな仕事が垣間見えて楽しそう!

www.sk-kumamoto.jp

 

あんまりカッコよく呼びすぎると、入職後にギャップが生じたり、院内の人から白い目で見られたりするのでそれはそれで問題なのですが、日々頑張っている方に自然と誇りやマインドを持ってもらえるような、「事務職」に代わる呼び方ができるといいなぁと思っています。

そしてその先に、優秀な人たちが病院業界を目指すような未来ができれば、病院の運営はもっともっと良くなると、信じています。