済生会熊本病院のオンライン地域連携勉強会に参加してきました!

Twitter上で以前話題になっていたのですが、2020年10月30日にオンラインでの地域連携勉強会である『未来連携フォーラム2020DX』が開催されました。

私もオンラインでの地域医療連携勉強会ってどんなものなの?と興味があったので、熊本県民では無いにもかかわらず、勉強のためにこっそり参加させていただいた次第です。内容が非常に面白かったので、このブログで取り上げたいと思います。

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イベントレポート:未来連携フォーラム2020DX

1.胃カメラを止めるな!:内視鏡室の感染対策

まずは「胃カメラを止めるな!」セッションから、内視鏡室のお話。

内視鏡検査からのがん発見・治療のお話も勉強になったのですが、個人的に興味深かったのは済生会熊本病院内視鏡室の感染対策の紹介。

withコロナ時代の内視鏡検査においてどのような飛沫対策を行うか、またハイリスク患者に対する追加での感染対策(飛沫対策のアクリルボックス使用などが紹介されていました)がオリジナルの動画付きで紹介されていました。地域のクリニックレベルでも運用に取り入れられる内容や、ハイリスク患者を安心して紹介できる環境があることは、地域連携をテーマとしたこの勉強会にふさわしい内容だなと感じました。

2.コイルで止めろ!:クリッピング術からコイル塞栓術への移行

後半のセッション「コイルで止めろ!」では、最近の脳神経外科手術のトレンドがクリッピング術からコイル塞栓術へ移ってきているところをイントロダクションに、済生会熊本病院でのこれまでの脳卒中センターの手術実績や、コイル塞栓術へ取り組んだことによるアウトカム等が惜しげもなく披露されていました。腕利きのドクターが多く在籍していることがプレゼンからよく分かり、これを見たら地域医療機関は脳神経疾患を済生会熊本病院に紹介したくなるなぁと思わされる内容になっていました。

ちなみにこれ凄い!と思ったのは、受診した患者さんがクリッピング術やコイル塞栓術の治療の適用があるかどうか地域医療機関側で判断が付かない場合、患者さんの受診がなくても紹介状とCD-Rを送ってもらえれば治療の概ねの適用を回答できるというサービス。

患者さんが来るまで適用かどうかを伝えるのではなく、事前に適用かどうかを大まかに判断したうえで紹介できることで、結果的に紹介率も高くなっていきそうですし、まさに「顔の見える医療連携」の実現そのものだなと思いました。 

あと、治療動画をかなり豊富に流してくださっていたのですが、自身のPCで近くでじっくり見られるので、これはオンラインならではの強みだな~と思いました。済生会熊本病院のHPでは治療開設の動画も充実しています。(紹介しているのは脳梗塞のページ)

sk-kumamoto.jp

未破裂脳動脈瘤については特設サイトもあるようですね。

sk-kumamoto.jp

地域医療機関との勉強会はオンラインでやる時代に?

これまでの時代は、地域医療機関の連携と言えば「訪問営業」「対面での勉強会」でした。

医療連携室の事務スタッフが、診療科の医師と一緒にクリニック回りをするのが全国どの病院でも一般的なやり方で、また定期的に急性期病院の治療実績を地域医療機関向けにPRする勉強会が行われていたのではないかと思います。

ただ新型コロナウイルスの流行以降、リモートワークとは無縁と思われていた医療機関でも、オンラインでの院内・院外ミーティング、電話診察、ファックスでの処方箋依頼など、「非対面」でのやり取りをすることが可能であるということが分かってきました。

今回の済生会熊本病院のオンラインでの地域医療連携の勉強会は、オンラインも情報量を落とさずに開催可能であることを明らかにしていました。そしてそれは、これからの医療連携における情報共有にはオンラインを組み込んでいかないと乗り遅れる可能性が高いと思わされる内容でした。

むしろ、地域医療機関向けの症例報告や診療環境のPRであれば、お互いに忙しい者同士ですのでオンラインの方が向いているのでは?という気すらします。(もちろん、オフラインでの病院同士のネットワーキング構築は非常に重要ではありますが。。)そういった意味で、内容だけではなく、これからの地域医療連携の在り方自体を考えさせられる勉強会でした。

 

あと、医療機関の後方連携の課題解決に取り組まれている3Sunnyの志水さんから、Twitter上でこんなコメントが。

個人的には、こういったところを手伝ってもらえると医療機関的にはかなり助かると思います。(オフラインでの勉強会では、製薬会社が入っている印象もありましたが。オンラインではこういうところも変わってくるのかな?)

実は済生会熊本病院は以前一度お邪魔したことがあるのですが、各部署に優秀な事務職な方が多くいらっしゃる病院だという印象を強く持っていました。今回の勉強会は、そういった事務職を多く抱えている病院だからこそ開催できたのではという気もしています。マンパワー不足の病院は、ノウハウの豊富な外部企業と手を組んでこう言ったオンライン勉強会を開催した方が院内職員の手間暇を考えると意外と安上がりかも…。

ちなみに済生会熊本病院では医療連携分野でデジタルトランスフォーメンションの取り組みを活発化させているらしく、これからの仕掛けにも目が離せません。

と、最後は済生会熊本病院がアツい!という話になってしまいましたが、他業界の「当たり前」を病院業界で先駆けて実践したオンラインでの地域連携勉強会、これからどんどん広まっていく気がしますので要チェックです。

そして新しい形式での勉強会を運営された済生会熊本病院の関係者のみなさま、おつかれさまでした!