「フル地ケア教」の教えから地域包括ケア病棟/システムの在り方を考える

先日、こんなポストがXで話題になっていました。

 

赤字病院のニュースが尽きない中で、「病院のおじかちょー」さんが進める「フル地ケア教」はその救いの一手になるのか?

興味が湧いたので、「病院のおじかちょー」さんに連絡を取らせていただいて、記事にまとめました!

そもそも、地域包括ケア病棟って?

Geminiに聞くと、こんな感じで答えてくれました。

1. 定義

地域包括ケア病棟は、急性期治療を終えた患者さんや、在宅で療養中の患者さんが一時的に入院する病棟です。住み慣れた地域での生活に戻ることを目指し、医療や看護、リハビリテーション、在宅復帰支援などが一体的に提供されます。

 

2. 主な入院経路

大きく三つ存在します。

  • 急性期病院からの転院

  • 在宅療養中の患者さんの緊急時の受け入れ

  • レスパイト入院 (介護者の心身の負担を軽減するために一時的に患者さんを受け入れる入院のこと)

 

3. 対象となる患者さんの例

  • 肺炎などで急性期病院に入院し、治療後は安定したものの、体力が落ちて自宅に戻る前にリハビリが必要な高齢者

  • 自宅での療養生活に不安があり、退院後の生活指導や準備が必要な患者さん

  • 在宅で療養中に一時的な入院が必要になった患者さん

 

「急性期病院と在宅の間にある入院病棟」とイメージするのが一番わかりやすそうですね!

入院料は施設基準によって分かれていますが、一番高い基準だと入院してから40日以内では2,858点/日が算定できます。

(看護師の基本配置は13対1ですが、看護職員配置加算(150点/日)で実質10対1看護配置になり、看護師配置の増加でさらなる収入増加を目指すことができます。)

細かい施設基準はこんな感じです。

 

地域包括ケア病棟の根底にある「地域包括ケアシステム」

同じく、以下Gemini調べですが、地域包括ケアシステムについて。

地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を人生の最後まで続けることができるように、医療や介護、生活支援などが一体的に提供される総合的な支援体制です。

このシステムは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、各市町村が地域の特性に応じて構築することを目指して進められてきました。

 

この植木鉢の図、見たことある人もいるのではないでしょうか。2025年は、もう来てしまいましたが…

地域包括ケアシステム|厚生労働省

 

まとめると、

地域包括ケアシステムが「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の5つの要素で構成される大きな枠組みであるのに対し、

地域包括ケア病棟は、その中の『「医療」と「介護」の要素を担う拠点』と言えます。

地域包括ケア病棟は、患者さんが再び地域での生活に戻るための橋渡し役として、地域包括ケアシステムにおいて不可欠な存在となってきています。

 

「フル地ケア」教の教え

以上の基礎知識を踏まえ、ここからは、おじかちょーさんのポストをもとに、「フル地ケア教」が目指すべきところを紐解きます。

目指すべき入院料のライン

まずは、一日当たりどの程度の入院料のラインが目指せる/目指すべきなのか?

こちらについては、「令和6年度入院・外来医療等における実態調査」をもとにまとめてくださっています。

*1

地ケア病棟でも各種加算や手術は入院料に含まれず出来高扱いとなるので、入院料+アルファの積み上げを目指していけるのが良いところですね。

そしてこのデータを見ると、急性期一般4~6はほとんど地ケア病棟と同じ点数であることが分かります。急性期一般4~6を取っている病床の稼働率は現時点で低いようなので、これであれば地ケアに振り切ってしまった方が効率が良さそうというのがよく分かりました。

 

病床稼働の在り方

「フル地ケア教」の教えを見ていくと「全部を地ケア病棟にしろ」ということではなく、「地ケア病棟の収益が最大化されるように病床の割合や稼働を考えていこうね」という意味と理解しました。

地ケア病棟の稼働率を高い水準で維持していくためのバッファーの病床の存在も重要になるようです。

 

地域連携戦略

地ケア病棟では、特に在宅連携が重要になりますが、理想的な地域連携戦略の在り方はこんな感じになるようです。

これこそまさに、厚労省の目指す「地域包括ケアシステム」の具体化ですね。

厚労省の目指すあるべき姿を追求していけば、自ずと黒字化も見えてくるかも…?

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/index.html

 

そしておじかちょーさんとやり取りをしていてなるほどな、、と思ったのが、

「地域包括ケアシステムのコアとして「地域包括ケア病棟」を「フル活用する」のが「フル地ケア教」である、ということ。

大きな政策レベルで目指す医療介護システムの中に地域包括ケア病棟があり、それをフル活用することで患者さん、病院、地域の三方良しを目指していくことが本質であり、単なる病院単位での黒字を目指す施策でなはない、という部分に「フル地ケア教」の奥深さがあると感じました。

 

Xでの反響

おじかちょーさんのポストに対する反響も多数寄せられていました。

中身的に強い反論はほぼなく、中小規模の病院にとってはこれが最適解なのか…?ということを改めて感じた次第でした。

 

ちなみに、多疾患併存の患者さん受け入れ・高齢者救急と向き合ううえで、地域包括ケア病棟では総合診療医との相性も良いのでは?という話の内容もありました。

この辺りはまさに国が目指している方向性とも一致していきますね。

 

まとめ

今回はXまとめ記事のスピンオフ企画として、引用ポストを多く使いつつ「フル地ケア教」の教えから地域包括ケア病棟の在り方を考える」というテーマで記事作成をさせていただきました!

また、つい先日には具体的な収支シミュレーションとしてこんなポストも。

 

今回の記事が、みなさんが関わる病院経営のヒントとなればうれしい限りです。知っている地域包括ケア病棟運営のTipsや好事例/失敗事例があればまた取り上げていきたいと思いますので、是非教えていただけると嬉しいです。

 

そして改めて、記事作成に快く承諾と監修をいただいた「病院のおじかちょー」さん、本当にありがとうございました!

*1:出典:令和6年度入院・外来医療等における実態調査 

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001496472.pdf