私はスポーツノンフィクションとか読むのが結構好きなのですが、
その中でサッカー日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエとイビチャ・オシム氏の言葉で特に心に残っているものがあります。
「完璧なチームとは8人の明神と3人のクレイジーがいるチームだ」(トルシエ)
「このチームには水を運ぶ選手が必要だ」(オシム)
明神選手は、2002年W杯でも活躍した、当時の日本代表のボランチ(守備的MF)、
オシム監督のいう「水を運ぶ選手」とは、当時は浦和レッズの鈴木啓太選手やFC東京の今野選手などを指すといわれていました。
いずれも、得点シーンにはほとんど絡まず、中盤でひたすら汗をかきボールを拾う選手だったという印象があります。
しかし、このような選手たちが、サッカーを90分成り立たせ、チームを勝利までもっていく選手でもあるといわれています。
自分の仕事に振り返ってみると、前の部署にいた時、もちろんクレーマーや癖のある患者を丸め込んでくれるような弁の立つ先輩も頼もしいのですが、定型業務をてきぱきとこなし、周りを身軽にしていく先輩の存在がとても大きかったことを思い出します。
その人がいる日といない日で、これでもかというくらい忙しさが違います。
その先輩は同期や上司からは、「もう少し積極的にリーダーシップをとってほしい…」という感想を持たれていたようですが、下から見ると、欲を出さず(ないだけなのかもしれませんが)、与えられた仕事を高い精度で早く仕上げていく先輩が部署にいることは、こんなにもありがたいことなのか、と感じていました。
会社には、物事を動かす人、物事を決めて帰ってくる人が必要ですが、それとは別に、いつの時代でも「水を運ぶ選手」の存在が必要とされるんだと思います。