医事課に異動してからは、「ヒト」に関わる仕事が多く、部署内の効率的な業務体系だったり、コミュニケーション方法を考える機会がとても増えました。
今までの社会人人生で考えたことのない範囲だったので、手探りの中での仕事が続いていますが、これを機に人事やコミュニケーションに関する本も、簡単なところからいくつか読むようにしています。
まずは入門図書として、Twitterでもよく紹介されていた「THE TEAM」を読んでみました。
本の概要
環境の変化度合い×人材の連携度合いという2×2の軸から、チームには以下の四つのパターンがあり、それに応じたマネジメントを敷くべきである、というところから話が始まっています。
1.環境の変化度合い:大、人材の連携度合い:大→サッカー型(例:スマートフォンアプリの開発チーム)
2.環境の変化度合い:小、人材の連携度合い:大→野球型(例:飲食店の店舗スタッフチーム)
3.環境の変化度合い:大、人材の連携度合い:小→柔道団体戦型(例:生命保険の営業チーム)
4.環境の変化度合い:小、人材の連携度合い:小→駅伝型(例:メーカーの工場の生産チーム)
またチームマネジメントの法則として、以下の五つが紹介されており、それぞれのチームの特性に合わせてどのような法則を当てはめていくのがよいかが書かれています。
A:目標設定(Aim)の法則
B:人員設定(Boading)の法則
C:意思疎通(Communication)の法則
D:意思決定(Decision)の法則
E:共感創造(Engagement)の法則
チームの定義で4通り、マネジメントの法則で5通りで、4×5で計20個の話が展開されていきます。一つ一つの掘り下げはさわりの部分が中心となっており、残りは他の本や自身が考えながら深めていく必要がありますが、チームマネジメントの全体像に触れるうえでは入門的な一冊でした。
病院はどのタイプの組織?
環境の変化度合い
病院単体としては、「小さい」組織だと考えています。もちろん、医療の世界の環境の変化は大きいですが、現場レベルで技術的な革新が日々起きているかといわれればそうではなく、管理職が考える3~5年の短中期的なスパンでは変化はあまりないでしょう。外部環境が近しい中で、毎年入ってくるスタッフをどう育て、育ったスタッフをどうつなぎとめるべきか、というところが重要な組織だと思います。
人材の連携度合い
こちらは、極めて「大きい」組織だと思います。
・一人の患者に対して様々な部署やスタッフが異なる形で関わること
・工場のラインのような流れ作業ではなく、各部署で様々な業務を受け持つ必要があること
などから、一部署内でも、病院全体でも、「人材の連携」を意識するべき組織なのかなと思いながら読んでいました。
病院は野球型の組織?
以上の二つの観点(環境の変化度合い:小・人材の連携度合い:大)から、病院はTHE TEAMでいうところの野球型の組織体系なのかなと思いました。
実際に、総合病院などでは病棟や医事課など、いち部署内でも密な人材の連携が求められますし、クリニックでは一つの会社として職種関係なく全体が連携して動いていく必要があります。
「野球型」の組織の特徴として、コミュニケーションの分野では以下のような特徴が本書では紹介されていました、
- ルールの設定頻度:多い
- ルール設定の権限:チームで(リーダーが)決める
- ルールの責任範囲:チームの成果
- 評価対象:プロセス
- ルールの確認頻度:多い
個人的には結構しっくり来たので、この本に書かれている定義は結構真相をついているのだと思います。
個人的に読んでいて引っかかったこと
人員設定(Boading)の法則の中で、「環境の変化度合いが低い組織では、特に入口(採用)にこだわるべき」という話が、「ビジョナリー・カンパニー」の著者であるジム・コリンズの言葉を引用しながら強く説かれています。
経営では「まず人選ありき(First Who)」。適材をバスに乗せ、適所に座らせ、「不適材」をバスから降ろす。そうすればおのずとバスの行き先は決まります。
自分はこの部分に疑問を抱きました。そもそも、日本企業の場合だと現場の中間管理職に採用や異動の人事権などほとんど無く、「適材」ではない人をどのようにチームメンバーとしてなじませていくかのスキルの方がよほど重要だと思います。
「再生工場」ではないですが、適材適所のスタッフに大いに仕事をしてもらいつつ、そうでないスタッフにどのように前を向かせ、他のメンバーと調和をさせながら仕事をしていってもらうか、というところは自分なりに考えていかないとなぁと思いました。
アメフト漫画「アイシールド21」に登場する蛭魔妖一というキャラクターのセリフに、こんなものがあります。
「ないものねだりしてるほどヒマじゃねえ。あるもんで最強の闘い方探ってくんだよ、一生な」
私も本当にその通りだと思っていて、そうでないのなら現状のメンバーでどうベストを尽くすか、というところに神経を注ぐべきなのだと思います。今の私にとっては、ジム・コリンズの言葉よりも蛭魔妖一のセリフの方が胸に響きます。笑
ちなみにこの話は、オードリーのラジオを聴いているときに知りました。漫画もラジオも役に立ちますね。
と、なんだか最後は話がそれてしまいましたが、「THE TEAM」はチームマネジメントの基本を考えるうえではおすすめの一冊でした。興味のある方は是非読んでみてください!