医事課での新入職員教育に関わって

医事課に異動してはや3ヶ月が経ちました。

患者さん対応やレセプト点検などの一般的な医事業務ももちろん行っていますが、以前医事課にいた時と比べると、派遣職員の勤怠管理や窓口業務の見直し、新入職員への教育などに関わる時間が多くなっています。

特に新入職員への教育は、「相手のレベルに合わせて一つずつ教えること」と「現場で1日でも早く戦力になってもらうこと」の二律相反があり、なかなか頭を悩ませています。

今回は、自分が教育関係の業務に関わるようになって意識した部分・見直しをした部分を、振り返りの意味も込めてまとめようと思います。

大切なのはとにかく基本練習

基本→応用のステップを踏ませる

病院における患者サービス業務って、「次にどのような患者さんが来るか」ということが分からないので、意外とOJTがやりにくい環境にあるなと感じています。

現場教育は見学しながら業務を覚えていってもらうということの繰り返しですが、「この人は○○のケースで…」「あの人は××のパターンだよ」という個別論の積み重ねでは、病院に来て間もないスタッフは混乱してしまうよなぁというのは常々感じていました。

なので、最初から現場に投入するのではなくまずはマニュアルを一緒に読み合せて、全体像を理解してもらうところに力を入れています。予定受診の受付ができないのに、緊急受診の受付はできないですし、保険証の読み方が分からなければ、公費の入力も分かりません。

派遣化になって職員が窓口業務の教育窓口業務の教育に深く携わることになったこと、また人手不足によりOJT内でのフォローの時間も十分に取れないこともなども裏事情としてはありますが、「まずは基本の徹底」を心がけて教えるようにしています。

接遇にあたって掛ける言葉には台本を作る

どんな職業でも同じですが、「接遇」にはコミュニケーション能力が非常に大事になってきます。

コミュニケーション能力には、

①その人の性格やキャラクターにより発揮されるコミュニケーション能力

②その職場で求められる知識や経験に基づくコミュニケーション能力

の二つがあり、現場でまず教えるのは②の部分です。

病院だと②の部分で教えるべきものが意外と多く、また教える人によってニュアンスが微妙に異なってくる気がしていたので、窓口での説明で重要となるポイントについては「台本」を作ることにしました。

例えば以下のようなシチュエーションです。

・手続き時に提出してもらう書類や保険証、保証金の受け取り

・限度額適用認定証の制度の説明や申請方法

・入院申込書の書き方の説明

新しく入ってきた人には、まず「型」を覚えてくださいとお願いしています。

窓口業務を標準化するためには、各スタッフが取るコミュニケーションを標準化する必要があると思っているため、部署内で一つの台本をスタンダードにすることが重要だと感じています。 

新入職員のアウトプットの時間を増やす

患者相手の実践の前には職員同士で模擬練習

先にも述べましたが、窓口にいると「次にどのような患者さんが来るか」が分からないので、こちらの望むOJTが進みにくい環境にあります。いきなり現場に投入して何もわからないうちにトラブルに巻き込まれると、トラウマになってしまいその後の教育が進みにくくなってしまうこともあります。

なので、最初の3日くらいは職員同士で模擬練習(新入職員が窓口役、ベテラン職員が患者役)をして、基本的なケースの復習と、こちらが教えた「台本」がきちんと定着しているかをチェックしています。また「喋る機会」を増やすことで、お互いにフィードバックをしたり、自身が詰まりやすい場所を把握しやすくなるという効果もあります。

またサービス業の側面もある以上、一定レベルの水準にしてから人前に出すべきという観点もありますので、時間や手間はかかりますが模擬練習を怠らないように指導しています。

1日の終わりに振り返りの時間を設ける

1日の終わりには、振り返りの時間を設けてもらうことにしています。と言っても、夕方の締めの時間帯はバタバタしていることも多いので、

・その日に教わって理解したこと、理解できなかったこと

・重点的に練習していきたいこと

・今後業務をするうえで不安なこと

を新入職員側に書き出してもらい、それを教えた側がチェックするという方法をとっています。

実際に書いてもらうことで、

・教える側と教わる側でのギャップがあることがわかる。

・本人の疑問点をもとに、次の日の教育を始めることができる。

・そもそもの理解度・理解性力が怪しいと気づくことができる。(あんなに教えたのにこれしか振り返りを書いていない…とか笑)

などがすぐに分かるため、日々の教育に連続性を出せています。

そもそもとして…病院の接遇はハードルが高い。

最後にそもそもの話なのですが、医療事務の「接遇」ってサービス業の中でもなかなかはハードルが高いなと日々感じています。

・相手がピリピリしている(相手は病気を抱えている、病院に来たくて来ているわけではない)

・病院自体の仕組みが複雑(保険手続きや病院のシステムの説明、分かりにくい院内表示など)

・長い待ち時間

などなど、患者さん側にストレスを与える環境の中で、患者請求について必要な情報を一通り確認しなければいけません。患者さんも疲れていますが、そこに対応する職員も疲れてしまいがち。

新しく入った方々にもその環境に慣れてもらわなければいけませんが、一方で最初の段階で「ひどく疲れる」経験をさせてしまうのは教育側のミスであり、それを防ぐ仕組みを構築しなければいけません。

人不足の環境の中で人を教えるということはなかなか難しいなぁと日々感じていますが、新しく来た人が早く業務に慣れていけるような体制を目指していければと思っています。