医療現場以外で働き始めている看護師➀(病院編)

今回のテーマは、「医療現場以外で働き始めている看護師」です。

病院の事務職が書くブログなのに、なぜ看護師のキャリアの話?と思うかもしれませんが、私は近い将来、事務職の領域は医療職の資格を持った方々が一定数流れ込んでくる領域だと思っています。

というのも、臨床現場で働いた経験は、管理部門の立場から病院を運営をすることに直結していると思うためです。また、事務職が医療職の仕事をするためには資格を取ることが必要ですが、医療職が事務職の仕事をするのに資格は必要ありませんので、キャリアチェンジがしやすい領域であるということもあります。

今回は、私の知る範囲で、「医療現場以外で働き始めている看護師」をテーマにまとめてみようと思います。

病院内での看護師のキャリア

医療安全・感染管理

まず紹介するのは、医療安全や感染管理といった病院全体を管理する立場で働く看護師です。学会の認定看護師であったり、指定の講習会を受講することでこのポジションにつくことが多く、管理部門的なところで働く看護師としては、一番ポピュラーな形かもしれません。診療報酬や医療法上では、医療安全や感染管理の管理者としての役割が求められ、その責任は極めて重大です。

看護師は、「一人の患者さんのケア」に力を注いで仕事をされていますが、これらの部門で働く看護師が相手にするのは病院全体のシステムであり、各部署の管理者であることがほとんどです。そういった意味で、事務職と性質が似た仕事であるのかなと感じます。

一方で、医療現場のたたき上げで培ってきたスキルで若手のスタッフを指導したり、時には各診療科の部長や病棟の師長と本気でぶつかり合いながら病院内の安全を管理する、きわめて医療色の強い役割も求められます。「看護師」として優秀なスキルを持っていることが大前提で、かつ病院全体を見る管理者としての役割も求められる、非常にハードルの高いポジションだと思っています。

私が一緒に働いている医療安全や感染管理の看護師は、深い臨床的な知識やスキルを持ち合わせつつ、病院全体のことを考える管理者的視点も兼ね備えていて、話をするだけでも本当に勉強になります。

医療連携(退院支援部門)

こちらも各病院で割とポピュラーな役割だと思いますが、医療連携、特に退院支援部門で働く看護師です。医療連携部門は事務職員やソーシャルワーカーが多く働く部門ですが、ここに看護師が入ることで、患者の受け入れや退院判断をより専門的な観点から考えることができます。私も医事課で社会的に難しい患者さんの対応をしていたときは、よく退院支援部門にいる看護師の方に助けていただきました。

最近では、退院支援に関わる加算の算定もあり、各病棟で退院支援の知識やスキルを持った看護師の方が退院のアセスメントをしてくださる体制も増えてきています。高齢化社会になるにつれ、より看護師の方の役割が大きくなっていく領域だと感じています。

医療通訳

特に東京や大阪など外国人観光客が増えてきているエリアでは、外国人患者への対応が喫緊の課題となっています。通訳機器・通訳サービスの導入を各自治体や病院で積極的に進めているようですが、やはり対面でコミュニケーションを取ることのできる医療通訳の存在が今後ますます重要視されて行くと思っています。

その中でも、豊富な医療知識や患者ケアの経験がある看護師は、まさに医療通訳としてふさわしい能力があると思っています。というのも、医療通訳でネックになるのは「医療知識」の部分だと思うのですが、看護師の方は医療通訳へのエントリーの時点でここをクリアしているからです。

看護師の方には、帰国子女であったり、以前は外資系の企業で働いていた経験がある方もいらっしゃり、そのようなキャリアを持っている方は明日からでも即戦力で活躍できるフィールドが「医療通訳」であると思います。

 

一つの記事にまとめて紹介しようと思っていましたが、ちょっと長くなりそうだったので急遽2つに分けて掲載をすることにしました。まずは、医療安全や感染管理、退院支援や医療通訳(患者さんとのコミュニケーション支援)など、看護師の方の業務の延長線にあると思われるキャリアをご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。

パート②では、もう少し医療現場から離れた働き方を書いていければ思っていますが、今回はここまで。