病院経営を知るためのおすすめ書籍5冊(新人~若手向け)

新年度を迎えて1か月。今年から入った新入職員も病院内の各部署に本配属となり、仕事が本格化してくる時期になってきました。

今年の新入職員がかわいそうだなと思っているのが、コロナウイルスの影響から「入社後研修」を受ける機会がなく現場配属になってしまったこと。一応私の病院ではE-learningで研修が行われたのですが、やはり病院の中で働く以上、どの部署でどのような仕事をしていて、どんな人が働いているのかを五感をもって知ることはとても大切だと思っています。

ただそうは言ってもその時間は取り戻せませんので、せめて自己研鑽の足しになればと思い、今回は「病院経営を知るためのおすすめ書籍5冊」を、新人~若手向けの視点で取り上げたいと思います。

ちなみに、紹介する書籍の条件は以下の三つです。

・自分が新人の頃に読んだ経験があること

・病院の現場での仕事に示唆を与えてくれること

・3,000円以内で買えること

病院経営の本のジャンルとして、大きく「外から見るか」「中から見るか」、また「管理者の視点から見るか」「現場の視点から見るか」の視点があると思っており、そのバランスを取って紹介させていただきます。

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 1からの病院経営

 「病院経営とは何か?」という広いテーマに対して、理論と事例を通して知ることが出来る1冊。病院経営に関わる学者・有識者の方が編者となっています。

診療報酬の話はそこまで多くなく、病院経営の全体像から始まり、経営企画やマーケティング、医療の質改善、地域連携、人事管理、職員研修などなど「病院経営」に関わるテーマを広く知ることが出来る1冊です。内容は病院に初めて入った方にも読みやすく、分量もちょうどいい感じ。

これだけで病院経営を知ったことにはならないかもしれませんが、病院業界に入った方への取っ掛かりとしては最適な1冊かも。

1からの病院経営

いまさら聞けない病院経営 

こちらは、足利赤十字病院の小松本院長が自ら書かれた病院経営の本。

「1からの病院経営」が、各病院の事例紹介となっているのに比べ、本書では足利赤十字病院の病院経営への取り組みが惜しげもなく披露されています。

小松本院長は、神経内科として臨床現場に立ちながら、東京医科歯科大学の大学院で医療経営・医療政策を学ばれ、その知見を自身の病院でフル活用されているという、まさに病院経営で最強の二刀流です。

本書の内容についても、事務長がカバーすべき内容が見事に網羅されています。

・経営者としての心構え(リーダーシップとガバナンス、医師主導の病院経営改善)

・経営指標の読み方、経営戦略(医業収益と医業利益、人件費や材料費の考え方、診療単価向上の施策)

・病院の生産性と財務諸表の読み方(医科歯科連携と病院経営の改善、主要な病院の経営指標の紹介・解釈、損益計算書貸借対照表の読み方)

正直ここまで経営のことを理解されて、経営にコミットされる院長先生がいたら、病院経営業界では無敵だろうなぁと思います。実際に、足利赤十字病院の経営成績は右肩上がりのようです。そして、この院長先生についていく事務職のレベルも非常に高いのだろうと、本を読みながら感じています。

「1からの病院経営」に比べると内容は高度で難しいところもあるかと思いますが、時間をかけつつ理解をしていきたい一冊です。

いまさら聞けない病院経営

病院は、めんどくさい

こちらの本は、現場に配属された若手職員が、とりあえず病院の仕組みについて、現場レベルで知っておくべき知識を把握しておきたいという方におすすめの一冊。

「病院経営」という大きなテーマをすぐに理解することは難しく、また新人~若手時代からそのレベルの切り口で仕事を求められることはあまりないと思います。そういった意味で、「1からの病院経営」も、「いまさら聞けない病院経営」も、即効性のある書籍というよりも、職場への理解を深める書籍という位置付けで紹介しています。

一方でこちらの本には、

  • 治療費の額が支払いの時までわからない
  • 病院と薬局が分かれているのはなぜ?
  • 治療費や入院費について相談したい
  • 病院のCMはイメージビデオばかり!?
  • 病院がつぶれたら入院患者はどうなる!?
  • 治療費を踏み倒したら

などなど、病院の事務職員になった方が知っておくべき内容が書かれており、入門書としておススメです。やや古い本ではありますが、病院を取り巻く基本的な構造は変わっていないはず。私も新人の時に、この本が研修の時に配られた記憶があります。(そして、だいぶ前に売ってしまった気がしますが…笑)

著者の木村憲洋さんは、これ以外にも病院の仕組み・医療費の仕組みをテーマにした書籍を何冊も執筆されています。特に医事課関連の方は読んでおくと仕事への理解が深まる本が多いかもしれません。

病院は、めんどくさい~複雑なしくみの疑問に答える~ (光文社新書)

エクセレント・ホスピタル

この本では病院経営においてどのような価値観を重視して、どのように実践していけば、現場スタッフがハッピーに働き、良い病院となっていくのか、という内容が、具体的な事例をもとに数多く紹介されています。

「○○のような問題があった部署に、どのように対応して改善を図ったか?」

「××のような課題のある管理者やスタッフに、どのような働きかけを行いパフォーマンスを高めたのか?」

などなど、病院を舞台に普遍的かつ難しい問題にどのように立ち向かうかが本書では紹介されています。現場の生々しい課題を知ることが出来るので、明日からの仕事にも示唆が得られる内容が多く、私も折に触れて読み返す一冊です。

内容については、訳者前書きに書かれているものをそのまま紹介させていただきます。

日本で出版されている病院経営に関する本は、

1.専門領域(診療報酬、DPC、財務管理、労務管理、待ち時間対策、患者満足対策など)について書かれたもの

2.学術寄りであまり実践的ではないもの

3.特定の病院・個人について書かれたもの、の3つのタイプが多く、 病院経営全般を幅広く扱っているものは、ほんの一部しかない。

本書は、病院経営全般を網羅しながら、 どの病院(組織)にも使える具体的かつ汎用的なツールが紹介されており、極めて実践的な内容になっている。 その中でも特に、これまではあまり焦点が当てられることのなかった 「職員」(満足度、採用、育成)に重点を置いていることが注目すべきポイントだ。 本書で紹介している考え方やツールを日々の経営に取り入れることで、 多くの医療人がやりがいを持っていきいきと医療を提供できるようになるだろう。 医療人がやりがいを持って働くことができれば、質の高い医療や看護を患者さんに提供することができる。 さらに、不必要な離職、採用、教育が減り、熟練した職員が効率的に働くことになるため、病院の経営も健全化するはずだ。

エクセレント・ホスピタル

※現在は単行本の新版が在庫切れになっているようです…。

診療点数早見表

最後に紹介するのは、医療機関の事務職員なら誰しも1回は読んだことがあるであろう、点数本。

もちろん個人で買う必要はありませんが笑、病院業界に身を置くのであれば点数本とは仲良くなっておきましょう~、ということであえて載せてみました。 

点数本を記憶する必要はありませんが、読みこなせるようになっておく必要はあります。カルテやレセプトを見ながら、部署に置いてある点数本を読み合わせて算定の根拠を見つけていくだけでも、1年経てば他の職員とかなり大きな差がつくのではないかと思います。

診療点数早見表 2020年4月版: [医科]2020年4月現在の診療報酬点数表 (2020年4月版)

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4月末には初任給も出たことかと思いますので、余ったお金があればこちらのリストから1冊でも2冊でも、読んでいただけると嬉しいなと思います!

正直病院経営関係の本は分野様々のため、私もまだまだ勉強中です。 みなさまからもおススメの本があれば、ぜひ教えてください~。