中医協資料を読む(第410回・2019年3月6日)

中医協資料を読む」という記事カテゴリをつくり、中医協資料がアップされたらその内容をブログに起こす、という連載(?)を始めたいと思います。

中医協とは何か?という点について、Wikipediaからの引用ですが以下をご参照ください。

中央社会保険医療協議会(Central Social Insurance Medical Council)とは、日本の健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働相の諮問機関。通例、中医協(ちゅういきょう)。厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)第6条第2項及び社会保険医療協議会法(昭和25年法律第47号)第1条第1項の規定により厚生労働省に設置される(国家行政組織法上の区分は「審議会等」)。

日本の保険診療および保険薬剤は、今日に至るまで公定価格制であり、厚生労働大臣に価格決定権がある(健康保険法76条)。その価格改定の際は、厚生労働大臣中医協に諮問しなければならない(同82条)。この中医協の答申に基づき、2年ごとの診療報酬の改定を実施している。

 

中医協で何が話されているかを知ることは、日本の医療業界の動向を知ることにつながると思いますので、自分へのトレーニングとして記事を書くことをやっていきたいと思います。

とりあえず、

・取り上げられた議題

・興味のあるトピックの詳細まとめ

の二点に絞って始めてみようかなと思います。

  

第410回の議題

・2020 年度診療報酬改定に向けた検討項目と進め方について
・被災地における特例措置について
・平成 30 年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準等の取扱いについて
・選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集について

資料は下記リンクよりご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

 

今回は、「2020 年度診療報酬改定に向けた検討項目」を詳しく取り上げていきます。

トピック:2020 年度診療報酬改定に向けた検討項目と進め方について

主な討議事項

・2020年度の診療報酬改定の影響等に関する調査のスケジュールのこと

・2019年秋頃より、個別具体的な改定項目について議論を深めること

・保険医療材料専門部会、薬価専門部会、医療技術評価分科会、入院医療等の調査・評価分科会等において、次期診療報酬改定に向けて、それぞれ検討を進めること

が資料に記載されています。(内容がふんわりしているのは厚労省の資料を参照しているためであり、私のせいではありません。笑)

 

2020年度の診療報酬改定の影響を調査するポイント

ほぼほぼ中医協資料の抜粋となっていますが、以下のようなポイントが調査対象となっています。

→より先は筆者コメントです。

 

〇入院医療

・2018年度改定で再編・統合した急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料、療養病棟入院基本料等(救急医療に関する評価を含む。)に係る、在宅復帰・病床機能連携率重症度、医療・看護必要度、医療区分、リハビリテーションの実績指数等の指標及び看護職員の配置の状況

・特定機能病院入院基本料等のその他の病棟の評価体系も含めた、入院医療機能のより適切な評価指標や測定方法等、医療機能の分化・強化、連携の推進に資する評価の在り方

・データに基づくアウトカム評価の推進の観点から、より適切な評価に資するデータ提出項目の追加やデータ提出を要件化する対象病棟の拡大

→2018年度改定の入院基本料の再編の影響度を調査し、診療のアウトカムと絡めながら医療機能の分化・強化を図っていく方針のようです。


〇DPC 制度
調整係数の機能評価係数Ⅱへの置換え完了等を踏まえ、DPC制度以外の入院医療とともに、DPC制度の適切かつ安定的な運用について、引き続き推進する。

 

〇外来医療、かかりつけ機能

・紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担の対象医療機関の範囲拡大

・地域包括診療料等の見直し

・かかりつけ医機能を有する医療機関の新たな評価等の影響

→かかりつけ医機能を有する医療機関と専門医療機関との機能分化・連携強化に資する評価の在り方が引き続き検討されていくようです。

〇在宅医療

・かかりつけ医機能を有する医療機関を含む在宅医療の提供体制の確保

・個々の患者の特性に応じた質の高い在宅医療と訪問看護の推進に資する評価の在り方(歯科訪問診療や在宅薬学管理を含む)

〇医薬品の適正使用

向精神薬や抗菌薬等をはじめとした医薬品の適正使用の取組推進

・医薬品の長期処方・多剤処方

・処方箋様式や医療機関と薬局の連携等の在り方

→2018年度改定では抗菌薬の適正使用加算が改定トピックの一つですが、全体的な医薬品の適正使用を強化する改定になっていくことが予想されますね。


生活習慣病の医学管理、オンライン診療等

生活習慣病管理料を含む生活習慣病の診断・治療に係る評価の見直しの影響

エビデンスに基づく生活習慣病の重症化予防のより効率的・効果的な推進の在り方

 

〇オンライン診療

・オンラインシステム等の通信技術を用いた診療の評価の新設に係る影響

・対面診療と適切に組み合わせたICTを活用した効果的・効率的な外来・在宅医療の提供

・遠隔でのモニタリング等に係る評価の在り方

→オンライン診療料は2018年度改定より本格導入となりましたが、普及率はかなり低いというニュースを目にしたことがあります。「対面診療と適切に組み合わせて」がベースとはなりますが、今後どのように広がりを見せるのか注目ですね。


〇医療と介護の連携

① 医療と介護が適切に連携した患者が望む場所での看取りの実現

② 維持期・生活期のリハビリテーション介護保険への移行等を踏まえ、切れ目のないリハビリテーションの推進

③ 有床診療所をはじめとする地域包括ケアを担う医療機関訪問看護ステーションと、居宅介護支援専門員や介護保険施設等の関係者・関係機関との連携の推進に資する評価の在り方

が検討事項として挙げられています。

介護保険制度における介護療養型医療施設、老人性認知症疾患療養病棟の見直し、介護医療院の創設等ともかかわる話ですね。

〇医療従事者の負担軽減、働き方改革

・常勤配置や勤務場所等に係る要件の緩和等の影響

・医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進に資する評価の在り方

・診療報酬請求等に係る業務の効率化・合理化に係る取組み

働き方改革を妨げるような「常勤配置」「勤務場所」などは、要件が緩和される(≒現実的になる)ことが予想されますね。


〇データの利活用

・診療報酬に関するデータの利活用の推進に係る取組の推進

・2020年度に向けたレセプト様式や診療報酬コード体系の抜本的な見直し(郵便番号の追加を含む)

→2020年度に向けて、レセプト様式が変わっていくのでしょうか??特に医事業務に関わる方が、直接の影響があるかもしれませんね。

〇歯科診療報酬

・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の評価の見直しによる影響

・歯科疾患管理料に係る加算の新設の影響及び継続的管理の実施状況等

・かかりつけ歯科医の機能の評価や口腔疾患の継続的な管理の在り方

 

〇院内感染対策

・院内感染対策に係る初診料・再診料の見直しの影響

・院内感染対策の推進に資する評価の在り方

 

〇服薬情報の管理

・服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行うかかりつけ薬剤師の取組状況

・いわゆる大型門前薬局等の評価の適正化

・患者本位の医薬分業を実現するための調剤報酬の在り方

 

後発医薬品の使用促進

後発医薬品の数量シェア 80%目標の達成に向けた、医療機関や薬局における使用状況

・薬価の在り方や診療報酬における更なる使用促進策

 

〇薬価制度の抜本改革

・薬価制度の抜本改革による関係者への影響を検証

・基礎的医薬品への対応の在り方



〇費用対効果評価
試行的実施において明らかとなった技術的課題への対応策とともに、本格実施の具体的内容について引き続き検討を行い、平成 30 年度中に結論を得ること。

→「費用対効果評価」というキーワードを医療系ニュースでよく見かけますが、恥ずかしながらどういうものを指すのかよく理解できていません。今後調べていきたいと思います…。 

 

〇明細書の無料発行
現行のレセプト様式の見直しが予定されている平成 32 年度に向けて、明細書の無料発行の更なる促進の取組について引き続き検討すること。

 

〇医療技術の評価

・先進医療を含む新規医療技術の評価の在り方

・手術手技をはじめとした技術評価(分類)について、国際的な動向も踏まえつつ、体系化を引き続き推進する。

 

〇その他

・ニコチン依存症管理料の適切な評価

・医療用保湿剤の適正な処方

・精神科入院患者の地域移行の推進等

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

とりあえず、こんな感じで今回は締めさせていただきます。

「(筆者が)中医協資料を読む」がテーマなので、こちらのカテゴリの記事についてはまず「読んで、書き起こす」ことがメインになることを予めご了承ください。

早くこれを読んで、解釈なり自身の意見だしができるようになっていきたいと思います!