昔の上司から教わったこと。

ふと、病院時代の上司を思い出す出来事があり、ブログを書いてみます。

その上司は、自分が5年目になる時に管理部へ異動した先の上司でした。

 

その部署の最大のミッションは、1年半後に控えた病院の機能審査に合格すること。

その上司は、良くも悪くも仕事において人との衝突を恐れない人物でした。

審査に合格するためには、これまでの病院で慣習的に取られてきた運用の見直しや、逆に「追加での煩雑な工程」を減らす作業が必要になります。そんな仕事の中で、部署に与えられたミッションを達成するために、敵を作ることを恐れず、群れずに行動することを教えてもらった気がします。

「自分のスタンスを持って、相手と時には喧嘩できるようにならないといけない」ということはよく話されていました。これは自分の苦手なところで、なかなか今でもできないですが…。。

また、その部署はタスクベースというよりもプロジェクトベースで動く業務がほとんどだったのですが、「その仕事、本当にやる必要あるのか?」「そのプロセスは本当に最短距離で、適切なのか?」ということをよく問われました。

部署の性質上、自分からやるべき仕事/やらなければいけない仕事を探さなくてはいけない場面もあり。そんな状況の中でも、「1年半後に行われる審査に向けて本当にやるべきことは何か?」という中で優先順位を立てることを強く意識するように言われていました。

いわゆるマイクロマネジメント型の上司だったのかもしれないですが、仕事の型を身につける時期だった自分にとっては、逐一その投げかけをしてもらうことでもう一段階深く思考をするきっかけになりました。相手先に話をしにいく時には、上司とのディスカッションを通じて思考がクリアな状態で話に行けたので、結果的に関係者で話ををうまくまとめ、動かすことができたケースも多々ありました。

また話をするときは数とロジックでストーリーを立てるように、ということもよく言われていました。ただ資料作りは、数値とロジックを詰め込んで作っていたので、やや見にくい仕上がりになっていたのはいまは良い思い出…笑。この辺りはオリジナリティをうまく出す分野になりました。

 

仕事の進め方や考え方について、メールでフィードバックをもらうことが良くありましたが、どれも貴重なアドバイスでした。転職する際に前職のドキュメントやメールは全て消えてしまったのですが、何かしらの形で残しておけばよかったなと思っています。

 

あとは、プライベートで勉強することの必要性も学びました。

自分が部下についていた間、1年間の病院経営講座を終えた後、今度は医療通訳の講座にも通っていました。ちなみに部下であった自分(ともう一名)に、英語を使う機会もあるから、TOEICのテストを受けて点数を報告して、と言われたのも今では良い思い出です。

「リスキリング」という言葉が流行るはるか前から、「勉強しながら自身のスキルを高めていく」ということを日常的に体現されていた方でした。

 

病院審査の直前や、無事に終わった後は、ある程度こいつなら任せても大丈夫なのかと思ってくれたのか、裁量を持たせて動かせてくれました。また、同時期に新しく異動してきたスタッフへの育成について自分に相談してくれることもあり、少し嬉しく思うのと同時に「この上司でも迷いを持つことがあるのだな」と思ったりもしました。

 

病院審査の翌年に、「もう一度医事課でチャレンジしたい」と相談した時は、やりたい仕事があるのなら、これまでの経験を生かして是非活躍してきて欲しいと言って、人事課とも話をして異動の後押しをしてくださりました。

正直、自分がマネージャーだったら新しいスタッフが同時に2名来る状態で仕事を回すことが大変なので、「もう一年、半年待てないか」などと言ってしまったかもしれませんが、そんな素振りは少しも見せずに希望を叶えてくださったことは、今でも本当に感謝しています。

部署が離れた後は、仕事上で関わる機会が少なくなりましたが、院内で会ったときはお互いの現状の情報交換であったり、退職時には温かいメッセージと記念品を贈っていただきました。

改めて振り返りながら書く中で思うのは、確かに院内ではトップクラスに厳しい上司であり、プロセスにも結果にも正しさを求めるプレッシャーはありましたが、一方できちんとそのプレッシャーと向き合うことで、当時若手だった自分が病院内の問題点を正しくに捉えて動かそうとする「中堅層」のスタッフに脱皮していくステップを踏めたということです。

実際に部下の立場から話を聞いても院内で賛否両論があったのは事実でしたが、自分にとっては良い時期に良い上司に恵まれたなと感じています。

転職後の思考や行動にも、どこかでその上司の影響を受けている自分に気づくことがあります。今年で社会人10年目になりますが、その上司の元で過ごした経験はこれからの社会人人生でも生かされて行くのだと思いますし、自分自身も学びを周囲に還元していかなければいけないなと思っています。