病院の経営者は誰が担うべき役割か?という議論について

先日、「病院経営は誰のものか?」という議論をXで見かけました。

発端となった方?と思われるポストの趣旨としては下記のような内容。

  1. 病院を使命感で継続して運営していて結果赤字、は経営者としてどうなのか。
  2. 病院経営の問題は、医療法人のトップが医者であること。医者は医療のプロであって、経営のプロではないことが多い。
  3. 医療の提供と病院の経営を分けることで黒字化できているケースを自院では作れている。

1の部分は、昨今よくニュースで出てきている赤字が生まれやすい構造的問題もあるのでここで触れるのは一旦避けますが、その上でXで話題になっていたのは2の「病院経営は誰が担うべきか?」という議論。

特に、「医者は医療のプロであって、経営のプロではない」という話は燃えやすいポイントでもあります…。

 

改めてなのですが、自身の考えの整理のために記事を書きたいと思います。

病院経営に必要なものとは何か?

大きく、2つの軸で考えうるのかなと思っています。

  1. 医療現場の理解・経験値
  2. 経営力・運営力

マトリクスで考えると下記のようなイメージでしょうか。

当たり前なのですが、どちらの軸が欠けても経営者としては不足点があります。

一方で、両軸を日々の業務を通じて習得している管理者は稀であり、そのような人材を自然発生的に待っていて出てこなかった時に、その病院はピンチに陥るでしょう。

ですので、ありきたりですが

  1. 世代交代を見据えて中堅以上の人材育成を行う
  2. 「経営・運営に強い」人材を外から引っ張ってくる
  3. 理事会や理事長の経営に対する権限を強くする

のいずれかで対応していく必要がありそうです。

 

ただし2は、現実問題として転職マーケットがあるほど潤沢な状態ではないので、リファラルや過去の在籍者とのコネクションでヘッドハントするか、コンサルを招いてくるという選択肢になります。

「病院経営をコンサルに任せて良いのか?」という議論は過去にXであった気がしましたが、これまた燃えそうなトピックですのでここでは割愛します。

3は、病院の規模によっては成立すると思いますが、日々の改善サイクルを回す人材のパワーが落ちそうな印象があります(ここは知見がないので、意見を聞いてみたいところですが)。

 

病院経営を担う医師をもっと積極的に育成しても良いのでは、という話

上述の1の「世代交代を見据えて中堅以上の人材育成を行う」という部分について、自分の身の回りの病院関連の知り合いの動向などを見て思うのは、「病院経営を担う医師をもっと積極的に育成しても良いのでは」ということです。

 

ここからは自分の所感なのですが、特に大規模な病院に勤務する医師の方は、40代で臨床面が一定以上のレベルに達する一方で、自部署の運営や病院経営に関わるポジションにはまだ至っていない傾向にあり、そこでのやりたいこととのギャップが離職を招くパターンも多い印象があります。

 

「医師は経営のプロではない」というのが今回の議論の発端?で、それはその通りの面もありますが、一方で院長・副院長陣を医師が占める割合は5割以上(院長は現行制度では必ず医師)であることを考えた時に、「医師を経営にタッチさせない」というスタンスは逆張りすぎて機能しない感じもあります。

 

経営・運営に関心がある医師を、医師以外の部署の兼務にしてみたり、プロジェクトリーダーに抜擢するなどの人事采配が、離職防止という観点でもより重要になってくる印象があります。

医師の方のポテンシャルは人材リソースの中でも高いことは自明だと思いますので、経験を積む機会が中堅以上のポジションで存在すると、「経営力・運営力」でも磨きをかけられるタイミングが出てきそうです。

 

Xの識者たちのコメント

ここで、Xの識者のみなさまの意見をご紹介。

共通の意見として多く上がったのは、「時間のリソースを臨床から経営に割く変化ができるか?」という点です。

働く時間は有限である中で、副院長以上のポジションに関しては臨床面での時間を抑えて、経営・運営に向き合う時間をどれだけ確保できているかが成功の鍵になりそうですね。

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まとめ

取り止めのないエッセイのようになってしまいましたが、今の自分の考えとしては、

・病院経営に医師をタッチさせない選択肢は非現実的。ただし、幹部ポジションに上がる前に一定の経営・運営経験が前提。

・経営・運営に関わる幹部陣が臨床に割く時間は最小限にすべき

という点です。

 

もちろん、その上で参謀になる事務職がきちんと機能する必要がありますね。

 

病院経営が苦しい時代のベストプラクティスは日々変わりうるものだと思いますが、現場でのより良い経営を目指した活動があればまたXなどでも紹介していきたいと思います!