先日、病院勤務時代の同期と会う機会がありました。
病院の医事課で勤務時代に一緒に働いたメンバーで、見ている先輩や風景は同じですが係はそれぞれ違うのでいがみ合うこともないという丁度良い距離感だったこともあり、定期的に飲みに行って職場のあれこれを話し合う仲でした。
それぞれ、病院からは転職して今は違う企業で働いているのですが、今でも年に一度くらいのペースで会う関係性が続いています。
コロナ禍を経て、一般企業はリモートワークを取り入れることも当たり前になりましたが、当時の医療機関にはそんな働き方の概念は全くなかった時代。元同僚と会う機会で、近況報告ももちろんし合うのですが、最終的には病院時代の様々な思い出話に帰着します。
ふと思ったのですが、みんなが同じ部署で働いていたのは正味二年弱程度。それ以降の社会人人生の方がはるかに長いにもかかわらず、みんな口を揃えて「病院時代の勤務は濃密すぎた」と言います(良くも悪くも…ですが)。
現在はみんな、リモートワークも取り入れた会社で働いたりしている中で、「対面で人が働くこと」について改めて考えさせられることがあり、エッセイ的に記事を書いてみたいと思います。
「事件は現場で起きている」
医療機関に勤務されている方なら感覚があると思いますが、
・受付のちょっとした話から患者さんに長く捕まってしまった
・昼休憩中に、お局的な先輩にいきなり絡まれた
・夜間事務のおじさんは優しいが、暇な時間はまとめサイトを見ている
みたいな出来事や面白話?など、日々対面で働いていることで生まれるエピソードが数多くあると思います。
効率性や生産性は落ちてしまったり、そのような出来事をきっかけに傷ついたり凹んだりもあると思うんですが、それも含めて働くこと、人間関係の深みを学ぶ機会だった、と今の自分は捉えています。
「リモートワークは事件が起きない」
一方で、リモートワークの場合は、誰かが作業している風景や休憩中の雰囲気などは分からず、成果物のレビューをやり取りしたり、前後の会話がない中での会議が連続します。
「効率性」は非常に高くなる一方で、人間観察の要素が抜け落ちやすく、「なんかあの人面白い」「なんかあの人が変だった」を気づきにくくなる。
働くことに思い出なんか要らないよ、という考えもありますが、人生の長い時間を仕事に費やすのを踏まえると、なんか味気なくもあるなぁと思ったりします。
もっとも、リモートワークで「事件が起きない」わけではなく、むしろ事件のプロセスが見えにくくなっていきなり噴出してくる、みたいなマネジメント的には難易度が高い状況が正確な捉え方だと思います。実際、自分の周りでもリモートワークで知らぬ間に業務過多になっており、一定期間お休みを取っていた、、というのが分かったケースも。
どっちの働き方がいいのか?
「出社vsリモートワーク」は、特にここ数年の働き方テーマで非常に注目を集めていますが、結局は「両方のメリットをうまく組み合わせながら最適解を見出そう」という結論だと思っています。
出社して働きながら、顔を突き合わせて議論したりランチをしたりする中で生まれるアイデアや関係性は、仕事をより豊かなものにしてくれます。
一方で、リモートワークでは雑音からシャットアウトされた環境で仕事が出来、移動にかかるストレスや時間もないので、生産性を上げる環境としてはこちらが優れているのかもしれません。また移動時間で往復1時間~1時間半程度がかかるとすれば、例えば育児や介護などがある方でばリモートワークで規定時間内に働き、その後すぐにプライベートに移れる環境は「ワークライフバランス」を考えるうえでとても重要な要素になるでしょう。
そのうえで、個人的に思うのですが「ワークライフバランス」の概念がまだ出てきにくい新卒~若手と呼ばれる時期に関しては、いわゆる「現場」の空気感の中で働く時間も必要なのかなと感じています。
やっぱり「リアルで一緒に何かをする」っていうのは人生のすごく大切な体験だなーって思い、特に新卒の人は、リモートもある会社が良い、、なんてことはいったん考えず、5年くらいはフル出社で切った張ったのやりとりしたほうが、その後の人生の体験も濃いものが生まれる…って思ってます。(昭和的な考えかもしれませんけど)
医療機関の場合どうすればよいか?
一旦、事務職に限定してですが、事務職の採用難易度とかを考えるとリモートワークが出来る環境づくりもちょっとずつ整理していった方が良い気がしています。
とはいえ、臨床から物理的に出社義務の職種との不均衡があるので否定的な考え方も根強いとは思いますが、、例えば、
・2-3名で運用されているオフィスワークの部署からバックアップ体制としてのリモートワーク体制を整備しておく
・育児明け時短勤務のメンバーの生産性を高めるための取り組みとする
・業務工程の見直しを行い、ルーチンワークの分野をバイトなどの雇用形態に対してリモートワークで実施
など、公平性と生産性のバランスを取りつつ、「現場でしかできない仕事へのコミット」という観点で設計するのが重要かなと思っていますが。
この辺りのバランス感覚も、今後の病院経営者や人事担当に求められる素養になっていきそうです。