2/6金に開催された、東京都とGovTech東京が共催する「医療DXの未来~DXがもたらす医療現場の変革~」というイベントに行ってきました。
学び多いカンファレンスだったので、自身へのメモとしてトピックを記録しておこうと思います。
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1. オープニング
登壇者:山田氏(東京都保健医療局長)
- 東京都医療DXの3本の柱:
- 電子カルテの導入促進: 日本の導入率は諸外国に比べ低い。2027年度までの3年間を重点支援期間とし、手厚い支援を実施する。
- 情報連携・共有の拡充: 国の「電子カルテ情報共有サービス(3文書6情報)」に加え、検査画像などの共有も図る。来年度に実態調査と要件定義を行い、令和9年度(2027年度)からの順次運用開始を目指す。この基盤は東京限定ではなく、日本全体で使える「ジャパンモデル」を目指して国とも協力し開発する。
- 患者満足度を高める環境整備: 待ち時間の解消が重要。来年度、1つの都立病院で受診前から会計までデジタルツールでフォローする仕組みを導入し、そのノウハウを都内医療機関へ展開する予定。
- 実現したい未来: 医療従事者の体験価値(EX)と患者・家族の体験価値(CX)の双方を高め、ヨーロッパのようにスマホで予約や情報送信が当たり前にできる世界を日本でも実現したい。
個人メモ:
山田さんがフィンランドの電子カルテ状況を見学した際に、「日本はフィンランドの20年前の状況ですね」と言われて衝撃を受けた、というエピソードが特に印象に残りました。上記の東京都の進める方向は、そこに追い付くための一歩として重要な位置づけになるはず。
個人的にも東京都の医療DX推進には関心があるので、今後もニュースをウォッチしていきたいと思います。
登壇者:迫井氏(厚生労働省医務官)
- 医療DXの定義: 単なるデジタル化ではなく、コロナ禍の反省を踏まえ、社会や生活の形を変える「トランスフォーメーション」である。
- 3つのコンポーネント:
- 基盤整備: マイナンバーカードを活用した「オンライン資格確認」を入り口とし、全ての医療機関をつなぐ。
- 情報の標準化・共有: 情報を標準化し、みんなで見られる仕組みを構築する(現在進行中)。
- 事務負担の効率化: 医療機関内の膨大な事務処理や診療報酬の処理をデジタルで効率化する。
- 電子カルテの標準化とクラウド化: 病院ごとの独自カスタマイズを抑制し、共通プラットフォーム(標準仕様)へ移行してクラウド化することで、効率的な改革を可能にする。
- 現場支援: 補正予算を活用し、職員へのスマホ配布など、現場のオペレーション改革に取り組む医療機関を支援する。
個人メモ:
続いて、迫井さんによるセッション。有名人ですが生でお見掛けするのは初めましてでした。
「すべてはマイナンバーカードから始まる」というコメントが、今の政策の方向性を表しているなと感じました。
また、医療DXというと現場のデジタルツール利用促進や情報共有基盤の確立という話が多く出てきますが、それ以外にも診療報酬請求業務の効率化・簡素化もスコープに入っているのだな、という点を恥ずかしながら正しく理解しました。人口減少や医療機関での雇用が難しい昨今、「レセプト職人」はどんどん減っていると思いますので、それに代わる仕組みが必要、という点は実はかなり喫緊の課題なのかもしれません。
2. トークセッション
モデレーターはGovtech東京の畑中氏が進行されていました。これまたすごい経歴…
「デジタルサービスのユーザー体験(UX)が良いと、その行政機関に対する信頼が9〜10倍になるという調査結果があり、個人情報を預けるための「信頼」の入り口として、従事者側のEXと患者側のCXの向上が不可欠」というお話はなるほどなーと思いました。
トークセッションで特に気になったトピックは二つ。
佐々木氏(医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長)
- 東京都内での現状の訪問の3割は緊急訪問で、延べ件数でみると都内の救急車要請の約10%?に相当(やや数がうろ覚えですが、シェアの高さ・患者の重症度の高さが強く印象に残った)
- 在宅診療を2006年から始めたが、カルテでよいものが無かったので自分で作った(「Homis」)
- 急性期からの転院先/介護施設や在宅から入院するようなケースの一部は、実は在宅でも対応できて、これが広まると医療費の削減になる
- 現在、医療機関間の共有は「紙の手紙(紹介状)に判子」が主流。診療報酬のルールにより紙が必要な側面があり、それをスキャンして電子カルテに入れるという非効率な作業が発生している。これを共通サービスでデジタル化したい。
個人メモ:
医師っぽいスライド高速めくりなプレゼンでしたがw、内容は非常に濃くスライド1枚1枚はキャッチーで分かりやすかったのでとても勉強になりました!
在宅医療向けのクラウドカルテを先駆けて作った話や、「在宅入院」の対応範囲を広めている話など、取り組みがガチもの過ぎて圧倒されました。。在宅医療の第一人者としての話を間近で聞くことが出来る貴重な機会でした。
阿部氏(Ubie代表取締役)
- 電子カルテ情報を要約し、入院・退院サマリーの下書きを作成するアルゴリズムを提供。
- インフォームド・コンセントの文字起こしや議事録作成など、400近いユースケースに対応。主要な書類業務を約40%削減できた病院もある。
- 患者向け支援として、「受診メモ機能」により、診察時に医師に伝えるべき情報をAIが整理。患者の記憶の曖昧さを補い、医師にとっても生活習慣や症状パターンの把握に役立っている。
個人メモ:
「AI問診」は、かなり早い段階からツールとしては登場していきましたが、いまいち現場での使われ方が実はイメージできておらず。最近だとChatGPTなどに健康相談している人も多くて、サービス価値ってどこになるのだろう?というのが効いていて気になっていたのですが、「受診メモ機能」の話を聞いて腹落ちしました。
受診前の患者側の壁打ち相手にAIがなって、医師はその内容をもとに診察をすればお互いの理解が早く進み、かつ診察の精度も上がる、という未来なのかな?と理解しました。
その他:
個人的には、もうちょい東京都の取り組み(電子カルテの更新の話題とか)を具体的に聞きたかったなーという感じです。。
3. クロージング
登壇者:迫井氏
再び急きょ振られて、迫井氏が登壇。
個人的にはこの言葉と出会えただけで今回のカンファレンス参加の価値を感じました。
今日はこんなイベントに。
— 元病院で働く事務職員 (@medical_admini) 2026年2月6日
会の最後に迫井さん (厚生労働省 医務技監)からの、「医療はみんなから必要とされて、かつ伸び代のある領域。未来の伸び代=現在はイケてない状態、かもしれないけど、そこを受け止めて計画にして、表に出して進めていく」という言葉にグッときました。 pic.twitter.com/hjjwMStDlW
登壇者:宮坂氏(東京都副知事)
最後に、Govtech東京理事長の宮坂氏によるクロージング。
「DXの本質」とは何か?という問いに対して、
・昔ながらの繋がり方(ファックス、郵便)を、AIやクラウドなどの最新の道具で作り変え、情報の流れをスムーズにすること
・その中で大切なのは、作り変えたときに詰まらないよう設計すること
というメッセージを話されていました。(その場でなぞかけしてくれたんですが、若干理解できなかったです、ごめんなさいw)
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たまにはこういうカンファレンスで、自分の知らない分野のアップデートをするのも大事ですね。
セミナー参加、時間や費用の制約もあって参加しにくいこともありますが(今回は無料でありがたかった)、興味あるものがあれば今後も参加しに行きたいなーと思います。